バカ田大学講義録

バカ田大学は、限りなくバカな話題を大真面目に論じる学舎です。学長の赤塚先生が不在のため、私、田吾作が講師を務めさせて頂いております。

クジラ釣りの終わり(下)

国益とは何か:捕鯨からの撤退 捕鯨は先進国でも立場が分かれている問題であり、模擬討論の議題として提示されることもあります。バカ田大学は学問の場であり、特定の政治的主張は控えるべきなのですが、反対賛成双方の主張を掲げたので、最後に私の立場とし…

クジラ釣りの終わり(中)

日本の立場 1:食料資源の確保 古来より日本人にとってクジラ肉は貴重なタンパク源であった。終戦後の食糧難の時代、クジラを食べて生きてきた。飽食の現代にあってクジラ肉は嗜好品の扱いであるが、地球規模でみた場合、異常気象などで食糧に乏しい国々は多…

クジラ釣りの終わり(上)

地球上で最も大きな生き物であるクジラ。人間との関わりも深く、古くから重要な食肉でした。日本は長年クジラ漁を続けていますが、捕鯨の是非は欧米の国と立場を異にしている問題の一つです。9月15日、IWC(国際捕鯨委員会)の会合で、日本側の捕鯨提案が否決…

謝ることを誤らないために

「コペル君、キミは間違ってるぜ。友だちが許してくれるかどうかなんて考えてはいけない。キミは大切な友だちを裏切ってしまった。キミが苦しんでいるのはそのためだ。だったらキミはキミ自身であるために、大切な友だちに謝らなければいけないのだよ。」 吉…

お金の使い方

イソップ寓話「石持ちの男」 コツコツと貯蓄に励んで老年を迎える頃には、一廉の金持ちになった男がいた。彼は長年かけて貯めた金を誰にも盗られない場所を考えに考え、結局は壺に入れた金貨を道端の土深くに埋めておいた。そうして毎日、壺が無事なのか見に…

お金の誕生

給料が足りない、月末はお財布がピンチ、お金持ちが羨ましい、と私たち現代人の悩みとはお金の問題とは切り離せず、誰もがもっとお金があれば幸せになれるのにと考えています。 世の中は金じゃない、とは言え実際には金がものを言う。お金がない故に惨めさと…

お詫び:日本大学の学生・OBの皆さまへ

5月6日、日本大学アメフト部と関西学院大学アメフト部の試合における危険タックル問題について、母校の不祥事に大きな憤りを感じられておられる在学生、卒業生の皆さま。これは事故ではなく事件であり、起こるべく起こったことです。関西学院大学の関係者を…

火垂るの眠り

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「IT:あいつ」の正体

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(字幕版) 発売日: 2018/01/12 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログを見る アメリカを代表する世界的作家スティーブン・キング。「スタンドバイミー」「グリーンマイル」「シャイニング」など、半世紀近くベス…

恐怖の正体

誰もが経験する「怖い」という感情は「関わりたくない」と「味わってみたい」という相反する二面性を持っています。何故人間は恐怖を感じつつも、恐怖体験を求めるのか、恐怖の正体を考察します。 臆病な遺伝子 人間を始めとする高等生物は、喜び・悲しみ・…

生命の氷

地球で最も南に位置する南極は、一年を通して氷に覆われた場所であり、人間が定住できない唯一の地でもあります。それ故に南極大陸は、世界のどの国にも属していない氷の聖域でもあります。 地球で最も寒い場所 地表の気温は、太陽熱で大地と海が温められる…

生命のタマゴ

スーパーの卵は食卓に最も身近な食材です。和食、洋食、お菓子まで、どんな料理にも使える万能食材であり、生命維持に必要な栄養素を全て持った完全食品でもあります。今回は卵の秘密を生物学の視点から解説します。 卵とは生命の原型 一般的には食品として…

色彩の科学・色覚の世界

私たちの日常世界には様々な色が溢れています。しかしそもそも「色」とは何なのでしょう。今回は色と光の関係から、自然界の色彩の秘密、人間は色をどう認識しているかを紹介します。 虹色のプリズム 光の正体は、光子という極小粒子と一定の波運動で表現さ…

赤坂のプリンス:後編(1945〜2011)

皇家離脱とプリンスホテルの誕生 敗戦を機に日本はアメリカを中心とした連合軍の支配下となります。日本の軍国主義化を防ぐためには資金源と人員を断つ必要があると考えたGHQは、皇族や華族(旧大名家)の地位を徴収し巨額の資産税をかけます。更に公職追放を…

赤坂のプリンス:前編(1898〜1945)

2011年に解体された赤坂プリンスホテルは、通称「赤プリ」と呼ばれ、1990年代初頭のバブル期を代表するデートスポットでした。跡地は東京ガーデンシティとして再開発され、ホテルとオフィスビルの複合施設になります。 唯一残っている旧館は赤坂プリンスクラ…

王族は辛いよ…サウード家の受難

サウード家のアラビア 現代の王政国家は、国王を国家元首と定めつつも、国政は国民議会が決定し、首相がトップを務めています。しかし21世紀の今日でも、王族が国政を担い、国家の立法、行政、財産を独占している国があるのです。それが中東のサウジアラビア…

王族は辛いよ…世界の王室事情

国中を巻き込むお家騒動 血の繋がりのある人々がひとつ屋根の下に暮らすこと、それが家族です。しかし人々の性格や立場が違う以上、些細な対立は起こるので、どんな家族も何かしらの問題を抱えています。 子供のいないカップルであれば、夫婦間で家庭問題を…

幸せは権利ではなく義務である

生きること、それは喜びと悲しみ、自由と孤独 怒りと愛情、日々沸き起こる様々な出来事に対する感情の体験です。 喜びと愛情に包まれる時もあれば、悲しみと絶望で先が見えない時も訪れる。そんな時でもじっと耐えなければならない。生まれつき健康や財力、…

国際都市TAKAYAMA

1月始め、岐阜県高山市を観光しました。そこで見た外国人観光客の多さに驚き、日本らしさとは何かを考えさせられました。 1:高山市の町並み 岐阜県高山市は日本海側の山岳地帯に位置し、市域は東京都と同じ面積があります。市内は標高3000m級の北アルプスを…

繋がり社会の網

2000年代の初頭から、個人でのインターネット利用が全世界で爆発的に普及し、テレビや新聞などの既存のメディアが独占していた情報の発信を、資本や技術のない一般人でも配信出来るようになりました。 ユーチューバーやブロガーといった職業が登場し、一般の…

化粧と女心

男性にとって理解が難しい女性の心。その一つにメイクがあります。何故女性は化粧をするのか、女性は化粧をどのように感じているのか、 男性の思考と比較して考察します。 化粧とは誰のためか 化粧水、化粧下地、保湿液、乳液、BBクリームパウダー、ファンデ…

あなたは「誰」を愛しますか?

「恋したい」「愛されたい」、いつの時代も 人は恋愛に憧れ、恋に悩んでいます。何故人は恋に溺れ恋に悩むのか、今回は小説「痴人の愛」を読み解きます。 痴人の愛 (新潮文庫) 作者: 谷崎潤一郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1947/11/12 メディア: 文庫 …

日本のエネルギー資源

日本はエネルギー資源として石油や天然ガスを全て外国からの輸入に頼っています。原子力発電所は再稼働の見込みが立たないため、国内電力の8割以上を火力発電に依存しています。 近年はマレーシアやインドネシアから天然ガスの輸入量が増えていますが、燃料…

「自由」とは何か

ストレスの多い現代社会は、誰もが仕事や人付き合いに振り回され「もっと自由になりたい!」と思います。しかし「自由」とはそもそも何か?今回は自由の意味を考察します。 忙しい社会 現代人の毎日は忙しく、社会人であれば仕事、 家庭に入れば家事育児、子…

臭いけど旨いもの

夏場は食品が腐り易く、家庭や飲食店が苦労する季節です。食料品の消費期限は余裕を持って設定されていますが、腐りかけた食品は細菌やカビが繁殖しています。 サルモネラ、O-157、ウェルシュ菌などは食中毒の危険が高い上に、菌の毒素は加熱しても分解され…

愛情と殺意の本能

今回は愛情と殺意の関係を考察します。両者は対局にあるようで、人間社会の基本はこの2形態しかありません。 殺人と戦争 日本国内での殺人事件は年々減少しており年間300件程です(2012:警察庁)。これが1950年代には2000件前後となります。しかし殺人事件とは…

孤悲の話

映画「君の名は」の記録的ヒットにより、新世代の映像作家となった新海誠監督。今回は2013年に製作された「言の葉の庭」を解説します。 言の葉の庭 発売日: 2014/11/15 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログを見る 愛よりも昔、孤悲の物語 都内の高…

障がい者と生きること

2016年7月26日、神奈川県相模原市の重度障がい者施設が襲撃され、19名の入居者が殺されました。あれから一年経過した中でも、事件は社会における障がい者の立場に重い宿題を残しています。それは容疑者の犯行動機に少なからず理解を示す人々が存在しているか…

お金が紙屑になる日

100兆ジンバブエドル 100000000000000ドル ハイパーインフレ ジンバブエドル 紙幣 出版社/メーカー: 世界の紙幣 メディア: おもちゃ&ホビー この商品を含むブログを見る ジンバブエの悲劇 アフリカ大陸の南端、南アフリカ共和国の隣にジンバブエという国が…

105歳の先生

7月18日、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生が亡くなりました。享年105歳、その生涯は波乱に満ちながら最後まで現役の医師であり続け、理想の医療を追求していました。 聖路加勤務時代 1911年、山口県に生まれた日野原先生は、京都帝国大学医学部を卒…