大学の授業は無料です。
現代の日本において、子どもの6人に1人は貧困状態であるといわれ、経済的な理由で大学進学を諦める若者が出てきました。こうした現状に政府も危機感を募らせ、安倍政権は憲法改正案に高等教育の無償化を盛り込み、返済不要の奨学金制度の設立を目指しています。
ですが、少し待って下さい。
そもそも大学に学費を払う必要ありますか?
現在、大学の授業は、誰でも、どこでも
無料で受けられる時代なのです。
「オンライン講座:moocの登場」
2002年、アメリカのハーバード大学とMIT
(マサチューセッツ工科大学)は共同で、
大学の授業をオンラインで公開し、さらに
レポートや中間・期末テストを課題とする
新たな講義システムを配信しました。
これを「massive open online course 」
と呼び、現在はアメリカだけでなく、
世界各国の一流大学が提携して、多くの
プラットフォームを提供しており、
います。現在「mooc」は英語で配信して
いますが、国立大学を目指す英語力が
あれば理解出来ます。また、日本語の講座
として、国内の大学や高等専門学校が
「jmooc」を提供しています。
これらのオンライン講座には、入学試験も授業料も必要ありません。情報端末1台あれば、
誰でも、いつでも、学ぶことが出来ます。
「大学と学歴の価値」
大学で学ぶためには金と時間がかかる。それが一般の認識です。一つは授業料の出費、もう一つは場所の問題です。東京都には多くの大学
キャンパスがありますが、首都圏の学生でなければ自宅から通うことが出来ません。もし地方在住の学生が進学を希望すれば、都内への下宿は必須であり、親は仕送りが必要になります。
医療の世界では、離島や山間部など、高度医療の空白地帯に遠隔診療技術を取り入れる試みが始まっていますが、これは教育でも可能なはずです。
例えば放送大学は、テレビでの視聴と課題の提出、全国各地の教室の集中講座に出席することで正式な学位として認定されます。昼間は就労しながら、自宅で講義を受講する学生は全国に約8万人います。そして放送大学は「jmooc」に多くのオンライン講座を持っています。
オンライン講座を全て受講すれば受講証が発行されますが、現在、文部科学省は正式な単位として認定していません。そのためいくら勉強しても、学歴として認定されないのです。大学は就職のために学歴を取る場所であり、出席だけすれば良いと考える学生は、受験勉強だけ頑張れば良く、オンライン講座は無意味でしょう。
「大学の役割」
ですが本来の大学とは、学問の目的とは、学位を製造することなのですか?
「経済を学びたい」「国際関係を知りたい」
「社会における自分の役割を見つけたい」
大学とは本来、学生の学習意欲に答えるための
場所であるはず、だからこそ世界の一流大学ほど講座の無料開放に熱心なのです。逆に大金を払うだけで学位が手に入ることで、大学卒の価値は暴落しています。
「好きだから学びたい」大学への入学資格は
これで十分なのです。社会には「高卒で働かなければいけない」「学費が払えない」「地方に
住んでいる」「年をとっている」「言葉が通じない」「障害を抱えている」「長年不登校だった」などの理由で大学進学を諦めている方が
大勢います。ですが「mooc」はこうした人々に学びの扉を開き、彼らの中には教育を受ければ優れた才能を発揮する人がいるはずなのです。
「大学に大金を使えば頭が良くなる」という
発想は間違っており、「学ぶ意欲」さえあれば知の世界は無限に開かれています。今後、欧米の一流大学は貧しい途上国から優秀な才能を発掘するために、オンライン教育をさらに充実させ、逆に経営に困っている大学は、学ぶ意欲のない金だけ持っている学生に学位を乱発するでしょう。日本政府が本気で貧困による教育格差を是正したいのであれば、奨学金名目で補助金をばら撒くのでなく、オンライン講座に正式な学位としての価値を認定して、パソコン一台で
大学を卒業出来る環境を作るべきなのです。
皆様にもぜひ「mooc」「jmooc」の授業を
お勧めします。