バカ田大学講義録

バカ田大学は、限りなくバカな話題を大真面目に論じる学舎です。学長の赤塚先生が不在のため、私、田吾作が講師を務めさせて頂いております。

ゲームは始まっている

今回はゲーム理論について解説しますが、携帯アプリではありません。私達の生きる社会そのものが「ゲーム」であるという話です。

 

「人類最高の天才:フォン・ノイマン

フォン・ノイマンは20世紀に活躍したアメリカの数学者です。その超頭脳による多くの研究が

社会の在り方を変え、今日の私達の生活を

支えています。彼の業績を簡単にあげると、

アインシュタインと共同でマンハッタン計画(原子爆弾開発)に参加していた。特に核分裂反応を起こす爆縮レンズの開発を担当。

・ミサイルの弾道計算のため、数学者

アラン・チューリングの計算機を改良し、

ノイマン型コンピュータを開発。現代まで

全世界で使用されているコンピュータは

全てノイマン型である。

・利害の対立する相手との妥協点を数学的に

     証明し「ゲーム理論」を確立した。

などがあります。他にも数学的な業績は数えきれません。アインシュタインノイマンこそが

真の天才だと周囲に話していました。(ノイマン

自身はアインシュタインこそが真の天才だと

考えていたようです)

 

ノイマンの唱えたゲーム理論とは、「ある事柄を巡って、A、Bという二つの個人(国や組織)が

対立した場合、どうすれば最大の利益を得られるか」を説明した数学理論です。一見すると、

均等に割れば良く思えますが、それは第三者の視点から見ているからです。例えば遺産相続などの財産分与は、相続権利者が揉めに揉めて、結局裁判所という第三者の介入が必要になるケースが多いです。人間は自分の利益が掛かっている場合は、なんとしてでも自分の取り分を確保したいと考え、対立した相手とどこで折り合いを付けたら良いかという視点が持てません。これが、自分が意図せぬままに「ゲームは始まってる」状態です。それまでごく普通の兄弟であった人々が、親の遺産相続後に絶縁状態となることは良くあります。ましてや裁判ともなれば多額の金と時間がかかるため、本来受け取れる双方の遺産が目減りしてしまうのです。露骨な利害対立は双方に不利益だと分かっているのに、自分がゲームの渦中にいるとそれが出来なくなる。その構造とはなにか。

 

囚人のジレンマ

二人の囚人(A氏・B氏)を自白させる場合、

「二人とも黙秘すれば求刑1年、自分が自白して相方が黙秘したら、自分は無罪だが相方は求刑3年、二人とも自白したら求刑2年だ。」

という選択をさせます。囚人二人にとっての

最善利益は二人が黙秘して求刑1年ですが、実際には二人とも自白して求刑2年を選ぶのです。

A氏の視点:

A氏が黙秘して減刑を得るには、B氏も黙秘する必要があります。しかしここでB氏が自白を選択すると、自分だけが求刑3年と最も不利益に

なります。逆にA氏が自白すると、B氏が黙秘してくれれば自分は無罪、B氏が自白したとしても求刑3年は免れます。

A氏にとっては、B氏の黙秘を信用して自分も黙秘した方が良いのは分かっています。でも実際には自分だけが自白した方が有利な選択もある。問題は「B氏も自分と同じように考えている」こと。互いの自己利益と不信感が示されている状況で、相手の信用を前提とした選択は

取れません。B氏の視点も同じです。