バカ田大学講義録

バカ田大学は、限りなくバカな話題を大真面目に論じる学舎です。学長の赤塚先生が不在のため、私、田吾作が講師を務めさせて頂いております。

「正しい」ダイエットの話

毎月のように、新しいダイエット方法が話題となり、そして消えてゆく現代社会。

「正しい」ダイエット方法が誰でも成功するならば、他のダイエット方法は登場しません。人々が新しいダイエット方法に飛びつくのは、以前の方法が失敗しているという証明です。

これからダイエットの話をしますが、成功するためではありません。そもそもダイエットとは何かを考えて欲しいのです。

 

ダイエットの意義

一般的に「ダイエット」というと、体重を落として痩せるというイメージを持たれますが、英語の「diet」は「健康」を意味しており、健康な体質になるための生活習慣改善が正しい意味合いになります。

人間の身体は元々脂肪を貯めるように機能しています。長い人類史の中で人々が食事に困らなくなったのは、合成肥料と農耕機械の登場で爆発的に食糧増産が可能になった半世紀前からです。それ以前の数百万年の歴史で、人間は常に飢餓に怯えていました。そのため身体の仕組みも、飢餓に対応するために糖質を脂質に変えて蓄えるのです。

この体質が飽食の時代となった現代でも機能するために、人間は砂糖や炭水化物の摂り過ぎで太ります。さらに脳も糖分と塩分、脂肪を摂取するように要求します。甘い物や、脂っこい料理が美味しく感じるのは、脳の欲求が満たされたからなのです。消費社会において食品メーカーは、食品の製造コストを抑えて沢山販売するには、糖分と脂肪の多い食品を作ることになります。その典型例がファーストフードです。

アメリカ合衆国貧困層は、安くて腹を満たせるファーストフードが主食となっています。そのためアメリカでは成人の30%が肥満と言われており(WHO:2008)、政府も国を挙げて肥満解消を推進する事態です。こうしてダイエットという言葉は痩せるという意味合いが強くなりました。

 

適正体重

ダイエットをするにあたって、「何故自分にダイエットが必要であるか」を明確にしなければなりません。そうしなければ自分の適正体重が

分からないからです。特に若い女性の場合、ファッションモデルに憧れてモデル体型を目指す場合がありますが副作用も大きいです。女性は子供を産む性であり、ホルモンの影響で栄養や脂肪を蓄えやすいのです。

モデルの女性は元々の体格が痩せ型で、さらに仕事として体型を維持しており、過酷な減量をしています。その代償として生理不順や貧血になることも多く、ファッションショーでは出演モデルに過度の減量を禁止しているほどモデル業界の栄養失調は深刻です。

医学的には、身長×身長×22=適正体重とされており、この22という数値がBMI(body mass index)の適正値です。実際の体重からBMIが25以上であれば肥満であり、減量の必要がありますが、18.5以下は痩せ過ぎであり増量の必要が

あります(出典:日本医師会)。まずは自分の適正体重を理解し、BMIが基準内に収まるならば特に減量は必要ありません。スリム体型に憧れるなら、基準値を下回らないように体重を維持する必要があります。

 

ダイエットの基本はカロリー制限

人間の必要カロリーは、成人男性で2200kcal、

成人女性で1800kcalと言われます。このカロリーは基礎代謝で消費するため、カロリーを必要量に保って、普段の生活を送れば体重の増減は

ありません。消費する以上にカロリーを摂取すれば太り、カロリーを消費量以下にすれば痩せる。ダイエットの基本はそれだけです。それだけのことが問題なのです。

 

「痩せない理由:カロリー過多」

菓子パンやケーキなどは1個で400~500kcalあります。ペットボトル飲料には砂糖50g(200kcal)以上含まれています。私たちは普段何気なく間食をしていますが、食事以外に糖質と脂質の塊であるお菓子を食べると、すぐに必要カロリーを超えてしまいます。また、砂糖水であるペットボトル飲料は極めて消化吸収が早く、簡単に血糖値を上げます。

血糖値を下げるインスリンは、糖質を細胞内に脂質として取り込む働きをするため、お菓子よりもジュース類の方が肥満になりやすいという見解もあります。私たちの日常生活はカロリー過多の食品に溢れており、どれだけカロリーを摂取しているか意識しなければ簡単に太ります。

 

「痩せない理由:消費カロリーの少なさ」

必要以上にカロリーを消費するためには運動するしかありません。しかしこれが難しい。1時間ジョギングや水泳をしても消費カロリーは200kcal程度です。体脂肪は1g=9kcalあり、1kgの減量には水分を考慮しても7200kcal消費しなければなりません。実にフルマラソン3回分、毎日1時間運動しても36日継続してやっと1kg減量出来ます。忙しい現代生活で、毎日ジム通いや運動を続けることは容易ではありません。

ましてや成果が中々出ない方法でやる気を維持することは難しく、運動ダイエットを始めた大半の人は途中でやめて、短期的に成果が出る方法を探すことになります。

 

「痩せない理由:溢れる情報」

〔このサプリで痩せる!〕〔10日間でー2kg痩せたダイエット〕、など情報社会である現代は

様々なダイエット情報が溢れています。それだけダイエット産業に需要があり、人は簡単に痩せる方法を求めています。ですが「幾ら食べても、運動しなくても、短期間で痩せる方法」とは、「勉強しなくても大学に受かる方法」と同じくらいありえません。人体は70%が水分であり1日2L程度の水分を取ります。そのため体重は平常でも1kg程度増減を繰り返しています。

もしも短期間で体重が減ったとしても、それは身体が脱水になっているだけで、水を飲めば元に戻ります。体脂肪を減らすという本来のダイエットを達成するには細胞レベルの脂肪を分解しなければなりません。いわば体質改善であり、スポーツをしても筋肉が急激に増えないように体脂肪も少しずつ減らすしかないのです。