バカ田大学講義録

バカ田大学は、限りなくバカな話題を大真面目に論じる学舎です。学長の赤塚先生が不在のため、私、田吾作が講師を務めさせて頂いております。

ありえないことは起きる

「人生を生きるとは、あり得ないと思っていることが我が身に起こることである。」

バカ田大学で学ぶことはそれだけです。

 

1:死の恐怖

現在、日本人の死因の50%は癌によるものです。ですが発見されるまで、自分が癌になると考えている人は存在しません。というより、自分が死ぬことを想定していません。

人間は動物の中では例外的に、死の概念を理解出来ますが、常に自分が死ぬことを考えて生活することは出来ないため、頭では理解しても、死の恐怖を無意識に押し込めています。災害や犯罪に巻き込まれた場合、それまで無意識に押し込めていた死の恐怖が実際の経験と結び付くため意識下に出てしまう。これがPTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼ばれる症状です。

この状態になると、死の恐怖を絶えず意識する

ことになるため、日常生活を普通に送ることが出来なくなります。

 

2:犯罪の被害者になる

女性の方であれば、今迄生きてきた中で、痴漢やセクハラなどの性被害に遭われた方は多いのではないかと思います。性被害は何も見知らぬ相手からとは限りません。性的虐待の加害者が

親近者であるように、レイプ被害の実態は知人と酔った勢いでホテルに連れ込まれ、乱暴されたというケースが大半なのです。

この場合、性的行為が合意の上で行われていたのか被害者しか分からないため、性犯罪は被害者の届け出によってしか成立しない親告罪です。裁判になれば被害者は自分が何をされたのかを公の場で証言しなければならないため、自身の尊厳を大きく損なってしまう。性犯罪が複合被害と呼ばれるゆえんであり、大半の被害者は被害届を出せずに泣き寝入りしてしまうのが現状です。そして加害者側には罪の意識が殆どなく、同様の手口を繰り返します。

近年は別れた恋人の裸体写真をSNSツールで拡散するリベンジポルノが深刻な問題ともなっており、自分や家族が被害者になる可能性は常に存在します。因みに性被害は女性だけの問題ではなく、男子児童がレイプ被害や売買春に巻き込まれる場合もあります。

私たちは基本的に物事を「常識の範囲」で見ていますが、犯罪とはそもそも常識の範囲外なのです。一般的な被害像をイメージしている場合、犯人はイメージの裏をかいて襲ってくると考えておいた方が良いでしょう。「あり得ないことは起きる」と想定するのです。

 

3:犯罪の加害者になる

ごく普通の人がある日を境に犯罪者になることはあります。自動車のブレーキとアクセルを

踏み間違えて、病院や商店に突っ込む事故は

とても多いですが、近年は高齢ドライバーに

よる高速道路の逆走や、自転車による対人事故

が増加しています。

もしも被害者が出てしまえば、その人は一生の障害を負うかもしれず、最悪の場合は死にます。どのみち関係者は事故の加害者を許さないでしょう。犯罪者のレッテルを貼られて一生を生きることは、人生に暗い影を落とし、社会の表舞台に立つことはなくなります。

身近な犯罪として気をつけなければいけないのがSNSでの中傷です。インターネットは全世界に接続しており、情報はコピーされればオンライン上にいつまでも残ります。本人は仲間内で陰口を呟いたつもりでも、実際は世界に向けて叫んでいるのと同じなのです。

近年は学校裏サイトなどの問題がありますが、仮に誰かの中傷がイジメに発展した場合、警察が動けば発信者は特定されます。この時点で加害者に罪の自覚は薄いかもしれません。ですが、加害者がやがて成人し就活や婚活を行う場合、企業や個人はその人の過去をネットから検索できるのです。

インターネットは誰もが公共の場で発言することと同義であり、政治家と同じく過去の発言や

行動を削除することが出来ません。過去には匿名掲示板にタレントの中傷を書き込んだ一般人が刑事告発された事件もあり、事件化しなくても思わぬ一言が誤解を生んでSNSが炎上することはよくあります。軽い気持ちでの投稿が、自分の人生を狂わせる結果を生む。「ありえないことは起きる」のです。