バカ田大学講義録

バカ田大学は、限りなくバカな話題を大真面目に論じる学舎です。学長の赤塚先生が不在のため、私、田吾作が講師を務めさせて頂いております。

話し合う技術

営業マンの交渉から夫婦の会話に至るまで、私たちは様々な場面で意見を調整するために話し合っています。ですが双方が納得いく結論を得ることは難しい。何故なら私たちが話し合う目的は、双方が妥協することではなく、相手を自分の意見に合わせるためだから…

防災省をつくろう

7月6日に九州北部を襲った豪雨は、未だに被害の全容が掴めず、被災者を救助している現在進行系の災害になっています。 日本は世界の地震・火山の4割が集中しているといわれる災害多発国です。近年だけでも、 雲仙岳噴火:平成3年6月、死者43人 阪神淡路大震災…

良い人と都合良い人

私たちは様々な人間関係の中で生きています。仲良い人もいれば嫌いな人もいるでしょう。人の悩みが根本的には対人関係に行き着くことを踏まえれば、良い人たちに囲まれて生きて生きたいものです。ですが「良い人」とは決して好感が持てる人を指す訳ではあり…

ピカソの落書き

20世紀最大の画家パブロ・ピカソ。今日でも世界的な評価と人気があり、絵画1点に100億円以上の値がつくこともあります。子供の落書きにしか見えない絵をピカソは何故描き続けたのか。今回は絵画の見方を解説します。 青年期 パブロ・ピカソは1881年、スペイ…

登戸研究所の秘密

明治大学の生田キャンパスは理工学部と農学部が設置され、日々学生たちが研究を行っています。この場所はかつて誰にも知られてはいけない極秘研究をしていました。今回は大人の社会科見学として、旧登戸研究所を紹介します。 帝国陸軍登戸研究所 1930年代、…

「正しい」ダイエットの話

毎月のように、新しいダイエット方法が話題となり、そして消えてゆく現代社会。 「正しい」ダイエット方法が誰でも成功するならば、他のダイエット方法は登場しません。人々が新しいダイエット方法に飛びつくのは、以前の方法が失敗しているという証明です。…

野菜は世界を巡る

スーパーに並んでいる野菜は、今日の私たちの食生活には欠かせないものです。野菜の生産地にこだわる方も多いですが、歴史を辿ると日本原産の野菜というものは殆どありません。農業の歴史の中で、世界各地からやって来た外来野菜をその土地に合うように改良…

書くことは生きること

2017年6月22日、小林麻央さんが亡くなりました。享年34歳、乳癌でした。 生前の小林麻央さんは、2016年9月より、ブログを通じて自らの近況を発信し続けていました。その時には乳癌は骨や肺に転移し、手術が 出来ない状態でした。先が見えない中で、自分とい…

サッカーの組織論

世界で最も愛されるスポーツ 今回はサッカーの魅力を解説します。サッカーはイングランド発祥で、やがてヨーロッパ各地に広がり、当時植民地であった南米諸国や 中東、アフリカにも広がりました。基本的にボール1個あれば楽しめること、ゴールに入れれば得点…

裸の王様は誰?

「裸の王様」 C・アンデルセン作 ある国の国王のもとに、二人の詐欺師が服の仕立屋を装って訪れた。「聡明な王よ。貴方様のために最上の衣装を仕立てます。この服の価値は愚か者には理解出来ません。その目で服を見ることすら出来ないのです。」二人はその日…

幽霊は生きている:恐怖編

前回は、身体的な死を迎えた人が、社会的には 死なないことで、人々の意識を「幽霊」として彷徨っていると解説しました。 今回はその逆で、身体的には生きているのに、人々の意識から消され、社会的には存在しない「幽霊」を解説します。 「葬式ごっこ」 198…

都市の類型

人々が集まる都市は、商業や行政の中心として 発展してきました。しかし都市が作られる 目的は行政や商業のためだけではありません。 今回は都市の類型を見ていきます。 軍事都市 自国の防衛と他国への侵攻に適した土地に 軍隊を常駐させ、軍需産業が集まる…

都市と地形の関係

人々が集落で暮らす土地が「村」、家々が集まって、商店街や公共機関、鉄道や道路など交通網が発達した土地が「町」、そして周辺の町から伸びる交通網の中心地であり、数百万人が居住と生産活動を営む土地が「都市」です。都市はいかに成立しているか、今回…

南国の貧しさと豊かさ

金持ちの人生論 長年の努力が実って、金持ちとして成功した男がいた。彼は南の島で連日バカンスを楽しんでいたが、現地の人々は貧しいままでいるのに 全く努力せずに生きてることが気になった。 「これからは気ままに生きるのはやめて、毎日漁に出て、金を貯…

心理学の考え方(2)

3:「悪い人」はいない この社会に悪い人はいない、心理学はそのように考えます。社会は犯罪で溢れているし、自分も悪意を持った人間の被害に遭っている、と反論されるかと思います。ですが、「悪い人」の視点ではどう考えているのでしょう。 例えば立場の違…

心理学の考え方(1)

心理学を学べば、人の心が分かると考えている 方はおりますか?心理学は心の構造を解き明かすための学問ですが、それで相手が何を考えているか分かれば誰も苦労しません。 本来の心理学とは、「人の心は分からない」ことを前提としてそれを真摯に探求する学…

幽霊は生きている

「幽霊はいる」or 「幽霊はいない」、幽霊の存在をめぐる論争は、一般人から学者を巻き込んで未だに決着がつきません。ですが「幽霊は生きている」のです。 幽霊とは何か 幽霊とは、死者の魂がこの世に未練を残して彷徨っている。というのが一般的な認識です…

世界の終わりの始まり

世界の終わりはいつ始まったのか解説します。 終わりの始まりって、言葉が意味不明だと 思います。「世界の滅亡説」が繰り返し社会現象になるのは何故か、そういう話です。 終末思想のブーム 日本では「ノストラダムスの大予言」や「マヤ暦の終わりによる地…

大学の授業は無料です。

現代の日本において、子どもの6人に1人は貧困状態であるといわれ、経済的な理由で大学進学を諦める若者が出てきました。こうした現状に政府も危機感を募らせ、安倍政権は憲法改正案に高等教育の無償化を盛り込み、返済不要の奨学金制度の設立を目指していま…

太陽は燃えている

地球上に生きる私たちには、毎日太陽の光が 降り注いでいます。一見当たり前に見えますが そもそも太陽とは何なのでしょう。今回は天文学の視点から太陽と核融合について解説します。 「宇宙の始まり」 宇宙が始まりがどのようなものであったのか、 天文学、…

恋とは気分、愛とは覚悟である

「恋愛には人の数だけの答えがあるが、 ただ一つ共通することがある。 いつか恋は終わりをむかえるのだ。」 柴門ふみ著 東京ラブストーリー 恋愛が充実している方も、恋がしたいと悩んでいる方も知って欲しい話。今回は「恋」と「愛」は何が違うのかを説明し…

ありえないことは起きる

「人生を生きるとは、あり得ないと思っていることが我が身に起こることである。」 バカ田大学で学ぶことはそれだけです。 1:死の恐怖 現在、日本人の死因の50%は癌によるものです。ですが発見されるまで、自分が癌になると考えている人は存在しません。とい…

猫はなぜ死んだのか?

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本) 作者: 佐野洋子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1977/10/19 メディア: 単行本 購入: 36人 クリック: 545回 この商品を含むブログ (359件) を見る あらすじ: ある時猫は国王に飼われ、死んだ時飼主は泣いた。ある時猫…

ゲームの終わり

3章に渡って、個人の利益と分配ゲームを 説いてきました。個人間の利益を巡る 対立に終わりは見えるのか? 「分配を巡る三つの平等原理」 必要原理:最も必要とする人間に多く分配される 北欧諸国のような高福祉国家の政策基盤 平等原理:成果と必要に関係なく…

会社員の給料が上がらない理由

「ゲームはまだ終わらない」 前回は富の分配を巡って人々が対立する構図を 説明しました。しかし社会集団を維持するためには、利益を生み出さないメンバーにも分配する必要がある。その場合利益を直接生み出している人間は、本来の報酬から利益を差し引かれ…

ゲームは終わらない

個人間の利益を巡るゲームは終わりません。 人が金(給与や予算)を得た場合、「この金を誰に配って、自分がどこまで独占出来るか」という問題が必ずついてきます。 例えば「宝くじで100万当選した場合」、(最高賞は3億ですが、ここでは100万とします。) この1…

ゲームは始まっている

今回はゲーム理論について解説しますが、携帯アプリではありません。私達の生きる社会そのものが「ゲーム」であるという話です。 「人類最高の天才:フォン・ノイマン」 フォン・ノイマンは20世紀に活躍したアメリカの数学者です。その超頭脳による多くの研究…

百獣の王は「ネズミ」

強い動物として、何を思い浮かべるでしょうか?ライオンやトラ、オオカミなどの肉食動物から、ゾウやクジラなどの大型動物もいます。 ですが自然界最強の哺乳類はネズミです。 何故って、浦安の某テーマパークに行けば人気の差は一目瞭然・・・。 では本題に…

ダメな男の伝記:野口英世異聞

千円札の肖像に使われ、誰もが知る日本の偉人 野口英世博士。でも彼は本当に偉い人なので しょうか。今回は人間としての野口英世の実像に迫ります。 「青年期」 1876年、福島県猪苗代町、磐梯山の麓と猪苗代の湖畔にある美しい土地に、野口清作は生まれ育ち…

君の声を聞かせて

今や日本のみならず、世界に広がるカラオケブーム。世界中の人々は言葉は違えど唄が好きなのは共通しています。なぜ人は歌うのか、 今回は歌とコミュニケーションを考えます。 「初めに歌ありき」 人類が文字を発明したのはおよそ5000年前と 言われています…